同じようなことを繰り返すつらい状況やなかなか抜けられない状況のことを「地獄」と表現することがある。ローン地獄とか通勤地獄みたいな言葉のことだ。アリジゴクもそうだろう。アリジゴクという虫がつくる罠はアリにとって地獄だということだ。
高校生とか大学生はテスト地獄だとか練習地獄だと言う。単語地獄(英単語をひたすら覚える)とかいうのも聞いたことがある。いちど学生が実験地獄と言っているのを聞いたがそれはよくわからなくった(実験ではなくて実習だったかもしない)。とにかく終わりが見えなくて嫌になるくらい続くのだ。
教える立場からだと採点地獄とか準備地獄だと思うことがあるわけだが、ここで考え方を、いや、言い方を変えてみよう。地獄ではなく天国と言うのだ。明日からテスト天国だ!連休の移動中は渋滞天国だ!アリがアリテンゴクにつかまった!テンゴクも地獄も、どちらも死後の世界だ。生きている人間が死を畏れたり尊いものだと考えたりして思いついた概念だ。ポジティブになれそうだ。こんど別府温泉に行ったら天国めぐりをしよう。
一方、いままで天国だと思っていたものも地獄だと考えると話が違ってくる、かと思ったが天国と地獄の往還を果たしたいま別にどうということはなかった。フィンガーファイブの歌う『学園地獄』は、歌詞がそのままでもまあ人によっては学校は地獄かなと思うし、『出没!アド街ック地獄』は地獄になっても結局ローカルでディープなスポットを扱うという点では変化はなさそうだ。
煉獄、あるいは現世と言い換えたらどうなるのかと思ったがそれはまさに現実でしかない。天国とか地獄という言葉を使うとき、それは現実から目をそらすためなのかもしれない。
https://amzn.to/4pIjYjh
イギリスのロマン主義時代の詩人ウィリアム・ブレイクが「天国と地獄の結婚」という詩を書いているよ